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じ、と拓哉の目を見つめて、少しだけ答えを強く要求してみる。
拓哉は一瞬キョトンとしたが、ニッと口元を緩ませたかと思うと、ストローを銜えてちゅーっとアイスコーヒーを一口飲むと、頭の後ろに手をやって、背もたれに背中を預けた。
何をもったいぶっているんだ、こいつ。拓哉の癖に……。
小さく、拓哉を睨む。
「陽輝は、どう思ったの?」
その言葉に、僕は眉を顰めた。質問に質問で返すな、というセリフをたまに耳にしたりするが、今ほどそれを思ったことはないと思った。
なぜなら僕は真剣に、相談として言っているのに。どうして質問で返されなくちゃいけないんだ……。
そう思ったが、やけにニヤニヤしている顔を見て、なんとなく思った。だから、たまに鋭い拓哉は僕の『親友』なんだ。
拓哉はつまり、自分で考えろとでも言いたいのだろう。それと、ただ単純にどう思ったか聞きたいだけ。
「そう、だね。きみのことだし、飛びたい空でも描いてるんじゃないかと思った」
少し小ばかにしたようにして、ストローからリンゴジュースを吸い込む。
一口飲んで、ストローから口を離す。そして真っ直ぐと拓哉を見て、少し皮肉気に口元を緩めて言ってやる。
「きみのことだ、どうせ空を飛ぶ夢でも見た後だったんだろ?」
僕はわずかに肩を竦め、頬杖をついて口の端を吊り上げる。
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