1人が本棚に入れています
本棚に追加
別に嫌いというわけではないし、どちらかというと好んで連む方だ。
とは言うものの、僕から行くことはほとんどないから、付きまとわれているという表現もありかもしれない。
けれど僕があえてその表現を選ばなかったのは、それが満更ではないから。
もちろんそいつにはそんなことは言わない。言ったら頭の軽いそいつは調子に乗るからだ。
……それに、僕自身も恥ずかしい。
そう考えるとなんだか悔しくなった。なんで僕があんな奴に恥ずかしいとか思わなくてはならないんだ。
だから、陽輝(はるき)と呼んだお調子者の声は無視することにした。
ちなみに陽輝というのは僕の名前だ。太陽に陽に輝くなんて、随分と似合わない名前だけど、どちらかと言えば気に入っている名前。
「はぁるぅきぃーっ!」
聞こえなかったと勘違いしているバカは、再び声量を上げて叫ぶ。
公園には子供、老人、30代以降の大人たちがちらほらといて、迷惑気にバカに視線をぶつけている。
今振り向いたら恥をかくのは僕だ。だからもう一度無視してやることにした。
それが間違いだったのか、背後から体当たりを食らったような衝撃が襲いかかる。
「無視すんなよなぁ~、酷いぞはるポンッ」
どうやら後ろから抱きつかれているらしい。力の加減が出来ないのか、結構苦しい。
首に回された腕の締め付け具合は、締め殺しそうなほど強い。馬鹿力とはこの事を言うのだろうか。
それとも無視したこと、怒っているのだろうか?
……いや、こいつに限ってそんなことはないだろう。でももし本当に怒っていたたら、謝ってやらないでもない。
というか「はるポン」ってなんだ、「はるポン」って。虫酸が走る、そんなニックネーム。
やっぱり謝るのは止めだ。絶対に謝ったりしない。
最初のコメントを投稿しよう!