Ⅰ 風のキャンパス

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 別に嫌いというわけではないし、どちらかというと好んで連む方だ。  とは言うものの、僕から行くことはほとんどないから、付きまとわれているという表現もありかもしれない。  けれど僕があえてその表現を選ばなかったのは、それが満更ではないから。  もちろんそいつにはそんなことは言わない。言ったら頭の軽いそいつは調子に乗るからだ。  ……それに、僕自身も恥ずかしい。  そう考えるとなんだか悔しくなった。なんで僕があんな奴に恥ずかしいとか思わなくてはならないんだ。  だから、陽輝(はるき)と呼んだお調子者の声は無視することにした。  ちなみに陽輝というのは僕の名前だ。太陽に陽に輝くなんて、随分と似合わない名前だけど、どちらかと言えば気に入っている名前。 「はぁるぅきぃーっ!」  聞こえなかったと勘違いしているバカは、再び声量を上げて叫ぶ。  公園には子供、老人、30代以降の大人たちがちらほらといて、迷惑気にバカに視線をぶつけている。  今振り向いたら恥をかくのは僕だ。だからもう一度無視してやることにした。  それが間違いだったのか、背後から体当たりを食らったような衝撃が襲いかかる。 「無視すんなよなぁ~、酷いぞはるポンッ」  どうやら後ろから抱きつかれているらしい。力の加減が出来ないのか、結構苦しい。  首に回された腕の締め付け具合は、締め殺しそうなほど強い。馬鹿力とはこの事を言うのだろうか。  それとも無視したこと、怒っているのだろうか?  ……いや、こいつに限ってそんなことはないだろう。でももし本当に怒っていたたら、謝ってやらないでもない。  というか「はるポン」ってなんだ、「はるポン」って。虫酸が走る、そんなニックネーム。  やっぱり謝るのは止めだ。絶対に謝ったりしない。
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