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もちろんそんな俺の考えなどおかまいなしに、彼女は話題を次のステージへと進めている。 人の話をきかない子供が急増していると各新聞は取り上げていたけど、実際にお目にかかると恐ろしいものだ。 もっとも、俺は殆ど言葉を発していないのだけれど。 「君以外には誰も来ないっぽいし……、やっぱこういうのって初日が肝心だと思うんだよ、私としては。もちろん君にとっても、ね」 会話というより演説状態の中、彼女は1人納得したようにウンウンと頷きながら満足げな表情を浮かべている。 「い、今ここで説明すれば良いんじゃない、かな……?」 意を決して独り言という名の嵐に飛び込む。未来予想図としてかなりの確率で厄介ごとを避けるためにはこの場から逃げておくべきなのだけれど、男というのは罪なもの。 春先のアレな人、なんて一流のシェフも頭を抱える食材は、可愛いという問答無用のスパイスによって至高の一品へと姿を変えてしまうのだ。 可愛いけど変、なんていうのも逆に可愛いじゃない。 何が逆でどこが可愛いのかもまったくもって説明不十分で根拠ゼロのクセに、何か納得させられてしまう自分の本能が憎い。 あぁ、ほら。その手があったか!みたいな顔でこっちを見ているじゃないか。
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