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だが、あちら側の人間には分かる。分かってしまう。
そんなこと、ギターが上手くない、その程度の事。
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何の障害にもなりはしない。
「―――――――――!!」
彼女が歌いだしたのは、校歌だった。
3年間で何人がその歌詞を覚えきるのだろう。
恐らくは何年もおざなりで、適当で、通過儀礼で、蔑ろにされ続け、それでも我在りと受け継がれてきた歌。
その歌が、最大級の爆音と嵐となって彼女を中心に降りそそいだ。
ギターすら前座だった。目の前の女の子から発せられる声がスコールのように全身に突き刺さり、核弾頭のように体内で弾ける。
爆散したそれは細胞を駆け巡り、血という血を叩き起こしながら尚も疾走を止めない。
言葉の1つ1つが無機質の校舎に刻まれるように、大気の全てがこの音の生まれを祝福するように。
この場の全てを支配するように彼女は歌い続けた。
フェンスは揺れに揺れ、ギシギシミシミシと音をたてる。彼女が激しく上半身を揺さぶっているからだ。
たかが校歌を、彼女は全身全霊をかけて歌い続ける。
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