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第二十章、秘められた偽り
喪った自己同一性
代わりに得た唯一無二
変えられない自我と記憶
栄光の字も
ただ自身の憑物が招いた
仮初の黄金虫
もっと高く
もっと近く
もっと早く――
共生の羽音に
私は手折られた花の先を
夢見てしまう
私は貴方さえいなければ
もっと早く
自分を見失えたのに
眩く光る日輪が
飛べない私の羽を今も
焦がして止まない
その向こうにある安息が
ただそれだけが
私には見えないでいる
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