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後ろを振り向くと其処には、義経と歳三がいた。
「そうか?」
「えぇ、何時も左之助と知盛の面倒を見てますからね。」
苦笑いをしながら言うと図星を指された歳三は微かに顔をひきつらせる。
その表情が何時ものクールな男と違い弁慶と義経はクスリと笑ってしまうが、何の用で声をかけたのか気になり口を開いた。
「…僕に何の用でしょうか?」
「ほらよ。」
義経は乱暴にある物を突き出す。
目線を向けると其処には受け皿に乗った色とりどりのサンドイッチが綺麗に並べられていた。
だが何故食べ物を寄越すのか訳が分からず、微かに眉間に皺を寄せた。
「お前、紫が部屋に籠もってから何も食べてないんだぞ。少しくらい食え。」
義経に言われ漸く気付く。
自分が紫の事を気にかけるあまり何も口にしていなかった事に……。
「その様子だと今気付いたようだな。」
2人に心配され弁慶は苦笑いを隠せない。
―全くこの二人は…。―
2人の世話焼きに遠い昔を思い起こしてしまう。
まだ自分が紫以外の女性と契約を交わし苦しんでいた頃、2人は弁慶を元気づけようとちょくちょく遊びに来てくれた。
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