5章

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歳三の意味深な言葉に弁慶は眉を顰めるが義経に指摘をされ、困った笑みを浮かべた。 ―2人には適いませんね。― 「僕が全てを話さなかったのは彼女があまりにも優しいから…全てを知ってしまえば紫さんは傷付き、苦しませてしまう。それに…。」 弁慶は出逢った時からあの優しい主を守りたかった。 優しくて芯の強く、だが意外と寂しがりで脆いマスターを…。 その時弁慶の片目が疼き、とっさに手で疼く片目を隠した。 疼く片目は弁慶にとって悲劇となった元凶の源…。 それ故に男は二度と同じ過ちを犯したくなくて、マスターに全てを話すことなく耳を塞ぎ目隠しをした。 だがその結果彼女を深く傷付けてしまう。 そんな事を考えていると片目が疼きから痛みに変わった。 「お前、あの時の事を!?」 それは弁慶だけでなく義経達も共に背負った。 友殺しの罪―。 義経はあるはずのない弁慶の片目の傷を気にかけ手を伸ばす。 だが弁慶はまるで触れてほしくないのか片目を隠していた手を下ろすと何時ものように笑んだ。 「違いますよ。ちょっと視界がダブっただけです。多分疲れているせいですね。」
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