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――――あの後、智也は戻って来なかった…
戻って来たのは授業が始まってからで。
『智也…‥‥』
静かな屋上…
朝早いから誰も来る事はなくて。
静かなここからの景色が好きで、
毎朝来てる事を言ったら…
“じゃあ一緒に行く”
そう智也は言ってくれた。
だから智也は朝早く生徒会の仕事を終わらせてから、
私に付き合って毎朝屋上に来てくれてた。
かしゃん、フェンスに手をかけて…
下を覗き込む。
キーンコーン..カーンコーン..
…遠くで鐘の音が聞こえた。
『…授業…
始まっちゃったな…』
ぽつり…呟く。
―――ピロリン♪
同時にメール受信を知らせる簡単な音楽が鳴り響き…
『……智也…?』
ディスプレイに表示された
“智也”
の文字を確認して、すぐメールを開いた。
“ゴメン…今日も一緒に帰れそうにない”
久しぶりにメールが来たかと思えば、こんな内容で…
『……智也……』
知らずの内に…
私の頬を涙が濡らしていた。
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