~第一話~

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『でもさ、毎朝…大変じゃない? 無理しなくていいんだよ…?』 無自覚、なんて言われたのはこの際置いといて。 とりあえず心配なのは智也の方だ。 『心配すんなって。 俺はお前とは鍛え方が違うんだから、 ちょっとやそっとじゃ倒れねーよ』 私が心配の眼差しを向けると… 智也は倍以上の笑顔で応えてくれた。 『でも…生徒会…』 『心配すんなってば』 ―――智也は二年生になったばかりで、生徒会長に選ばれた。 しかも全校生徒一致で。 そんな事はこの学校始まって以来らしく… 先生達も驚いていた。 …それほど、智也の人望は厚い。 だからこそ、不安になる。 『葉月? どうかしたのか?』 智也は明るくてさっぱりしてて… 多分、智也を嫌いな人なんて少ない。 それくらい人に好かれるオーラを持ってる。 『ううん… 何でもないよ…』 ―――それなのに。 私でいいのだろうか… こんな地味な、私で。 俯いたまま、返事をすると… 智也は はぁ、と深いため息をついた。 『………何でもなくないだろ?』
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