1 火狼の薔薇姫

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こんなに若い女性が人間核兵器なんてさすがに誰も思わないだろう。 それに人間核兵器が作られたのは300年も前のこと。 不老不死。 おじさんは薔薇姫をじろじろと見ていたため薔薇姫の顔が赤くなった。 目も髪も紅い薔薇姫が本当に真っ赤になってしまう。 真っ赤な彼女を見て主人が笑った。 「あっあんまり見ないでください…恥ずかしいです」 敬語でおじさんに訴えるとおじさんは“嗚呼。悪いね”と見ることを止めてくれた。 そして漸くたわいのない話をおじさんと主人がしているところを薔薇姫は見ていた。 「では…そろそろ本題に入りますか」 場所を和室に移動し真剣な話をし始めた。 何故かそこには薔薇姫がいる。 主人にこいと言われたのだ。 薔薇姫は主人の斜め後ろに座っている。 穴一つない障子。 染みすらない畳。 隅々まで埃のないこの和室はついさっき薔薇姫が掃除したのだ。 なんか変な感じ…だと彼女は思うのだった。
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