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「あいつが俺の居場所なんか知る訳ねーじゃん。食堂?」
「行く?」
颯は頷いて、最近一人になってないことに対して溜め息が溢れそうになるのを佑稀の前だからと押さえ込んだ。
「…でさ~、上谷」
「…へっ?」
「アハハ、そんな驚くなよ!…いやカレーかオムライスかで」
「?立石が食うって?」
そうだよと佑稀が嬉しそうに頷く。
「どっちも食えるんじゃね?立石なら」
「…っ上谷最高!そう言うと思ったよ~」
颯の背中をバシッと叩いて、佑稀が鼻唄を歌うようにカレーとオムライスを頼む。
「上谷は?」
「蕎麦?」
「渋っ」
と言いながらも颯の分まで頼んでくれるのだから佑稀は親切だ。
他愛もないことを語る佑稀達の会話に時々相槌を入れながら颯は自分の世界を保った。
これが中々難しいのだ。
「…じゃ、上谷明日モーニングピンポン宜しく!」
「あれ、俺になったの?」
「なったよー、満場一致。じゃなー」
本当に愛想よく佑稀が手を振って隣室の扉へ消えて行く。
──まぁ、立石の部屋に朝一でベルを鳴らしに行くくらい、いいか。
なんて思いながら、部屋の扉を開ける。
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