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「オッサーン」
保健室の扉を開けながら颯が海鳴を呼ぶと、海鳴は洗っていた手を拭かずこちらにやってきて、颯に水を掛けた。
「…」
「You asked for it!」
「いや、だから俺英語判んないって」
言いながら颯は海鳴の指定席に座り込んで、ノートを取り出した。
「?何ノート?」
麗が不思議そうに尋ねて、颯は少しこちらを向いた。
「何処を直すべきかを書き留めるノート」
「へーっ、真面目」
真面目なのではない。颯は記憶力が無いに等しいのだ。だからさっさと書き留めておく。
「でも上谷が書いたやつ読めないんだよねー、私」
「…日本語で書くよ」
「え、漢字は!?」
「…頑張る」
漢字を頑張っても意味は無いのでは、という疑問を堪えて、麗は本題に入ることにした。
「被害者は、全員手首や首を切られた失血死です…って失血死位書いてあげるから平仮名やめろー!」
颯は渾身の力で書いた平仮名を頭ごなしに否定され、軽くショックを感じていた。
「それで?」
「しかも結構なスプラッタで、常人には無理です!」
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