0人が本棚に入れています
本棚に追加
区立、櫻田高等学校。
現在4月16日。
まだ慣れない高校生活の中で、それぞれ自らが見つけた“友達”と“グループ”の中に捌けていく中、そんなものを必要としない男子生徒に一人の女子生徒が近付いた。
「あー疲れたー…!ね、上谷」
「何」
「いや、今のは同意を求めたんだけど…」
女子生徒は妙に短いスカートを片手で押さえながら──押さえるなら短くしなければいいのに──そう思いながら上谷颯は、雛崎麗を完全無視し、教室を出ていった。
「ちょ、上谷ー!?」
麗が走って付いて来るのだが、颯は速度を落とさない。
ちょっぴりそういう思い遣りに欠けているのだ。
「上谷ってば、ねぇ」
やっと追い付いて颯の背中を叩く麗に、颯は思いきり振り向いた。
「お前さぁ」
「な、何?」
「あんまし学校で俺に近寄るなよ…バレたらどうする!?」
早口で捲し立てる颯に、麗が少し後ずさって髪を触る。
「バレないよ。バレたら上谷のせいだもん」
「お前公私混同って言葉知らない訳?だからお前は…」
地面の土を靴でいじって、麗が知らぬ顔をする為に、颯は思いきり溜め息をついた。
最初のコメントを投稿しよう!