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にこっ、と笑ってさらりと言ってのける小夜に颯は相手出来ない、と手をヒラヒラと振った。
「ん?小夜、オッサンは?」
「…海鳴?さぁ?颯の学校の先生でしょ」
首を傾げて小夜が答え、颯の顔を見つめてくる。
「何?」
「いや、何か出るかな、と素朴な疑問が」
「何も出ません」
小夜が颯の隣から、麗の隣──土管の上──へ移動する。それを颯は目だけで追って、退屈になった目はまた伏せた。
「そういえば小夜君何で遅かったの?」
「友達と駄菓子屋行ってた」
「学校帰りなのに?」
探るような麗の口ぶりに小夜は迷わず頷いて、困った声を出した。
「…ん。買い食いっていうその背徳精神とスリルが堪らないと推測されるね」
「小夜君、その後は『これだから最近の若いもんは』が続くでしょ」
「まぁね」
楽しそうに話す二人の声を耳にだけ通して、颯は遅い待人を急かすように溜め息をついた。
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