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「では、早速ですが……どちら様で?」
八尋の双眼が私の奥……昼の青空の一点を睨む。千年も釣られて振り返るとそこには生物がいた。人間が。
「しかも巫女?まさか、麗のか?」
千年の問いに八尋は頷き構えを、敵を倒す時のフォームをとる。
「紅白の服。あれは代々麗の巫女の装束服。間違いありません」
巫女は二人を見てため息を一つ吐く。まるで見たくないものを見てしまったかのように。
「幻想郷にまた鬼が来たのね……しかも二体も」
巫女からは昼の太陽の位置のせいで我々は黒い影にしか見えない筈なのだが…我々が鬼である事を一瞬で……。
八尋は拳を強く握り締める。
「千年様」
「何だ」
「何代継いでも麗は麗、鋭く、そして強いです。油断は為さらず……」
前髪のせいで此方からでは見えない幼い主人にそう言うがその警告された主人はその警告を屁にも思っていない。大丈夫と人差し指をメトロノームのように振る。
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