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「八尋よ」
「は」
「万に一つでも私が人間に遅れをとるとでも?」
「失言でした。四天王が一人『虎熊童子』の血を継ぐ千年様が人間に遅れをとる訳がありません」
それを聞き満足したのか千年は目を隠す黒髪に軽く息を吹き掛け、手と手をかち合わせ気合いを入れる。
「では八尋。私一人でいってくる。私の名は虎熊千年。鬼の血の下に正々堂々!」
巫女へ向かって飛翔し叫ぶ。
「勝負だ!麗の巫女!」
巫女もそれに答えるように袖からお札の束を両手で持ち千年に投げ、見事に千年の顔面に当たり、爆発した。
「ひにゃあ~」
千年は奇妙な悲鳴をあげながら落下。それを八尋が空かさずキャッチ。
「鬼の座右の銘ってさ、猪突猛進なわけ?」
「いきなり殺意を向ける貴女の座右の銘は問答無用ですかな?」
巫女は面白くなさそうに「あ、そう」と吐き捨て飛んでいく。八尋もそれに続き千年を抱え飛ぶ。
飛びながら八尋は千年の、先程の札のせいで少し汚れてはいるが綺麗で柔らい肌に触れ、そして『角の生えてない』頭を擦った。
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