―開幕―

3/11
前へ
/162ページ
次へ
     神崎からは少し怯えた様子が伺える。それを見て立腹の男はさらに苛立つ、そして神崎に向け静かに問う。 「神崎、手前もしかして怖じ気づいてやがんのか?」 「なっ! そんなわけないじゃないですか芝浦さん!」  神崎が真っ赤な顔をして立腹の男――芝浦に反論するが、芝浦は静かに返す。 「本当か? 俺の予想が当たってりゃ、怖じ気づいてたら田宮達と同じ目に遭うぞ?」 「よ、予想ってなんのですか?」 「侵入者がどんな奴かって事だ」 「分かるんですか!」  神崎が食い付く。芝浦はやれやれと首を横に振りながら話始める。 「俺の予想が当たってりゃこれは……切咲の鬼共の仕業だろうな」 「切……咲?」 「なんだ、切咲を知らねえのか?」 「はい」  首をかしげる神崎を見て芝浦はため息を吐く。 「ハァ……宮原、説明してやれ……」 「はい。切咲とは五大殺人一家の一つ、殺人鬼集団切咲衆の事です」 「はあ……」  神崎がよく分からないといったような表情で頷く。 「田宮達の四肢に短刀を突き立てていたというやり口を見る限り、今回の下手人は【食人嗜好(イーターチャイルド)】にほぼ間違いないでしょう」      
/162ページ

最初のコメントを投稿しよう!

395人が本棚に入れています
本棚に追加