運命の人

2/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
あれは…8歳のトキ― あたしは、運命の人と出会った それは“パエリードール TAKADA”が小さなお菓子屋のトキ… エレナは…祖父母が経営する“パエリードールTAKADA”に住んでいた 2つ離れた和也と6つ離れた雅也と一緒に… 本当の親は知らない 気づけばココにいた… 親の顔は見たコトない 祖母の話によると エレナが1歳のトキに事故で死んだらしい でもエレナは幸せだった いつも祖父母が笑ってたから… そんなトキ君に出会ったね 運命の出会いとも知らず あのトキ… エレナは菫のナエが入った植木鉢と薔薇の蕾が咲いているナエが入った植木鉢が入ってるビニール袋を両手で抱えて歩いていた 祖父と叔母にプレゼントするためだ 祖父は誕生日だから 叔母は帰国祝いである 「重いなぁ」呟きながら歩いていた 店の前までやっとの想いで着き、裏口に行こうとしたトキ バットとグローブを持って走ってくる同じ年頃の男の子とぶつかった これが運命の出会いだった 「いったぁ~」 「いってぇ~ あ、大丈夫?」 「うん。平気だけど、大丈夫?あっ!!」 エレナは声を上げた そこには、散乱した菫と薔薇があった 男の子は、すぐ散乱した菫と薔薇を、植木鉢に戻した 「お花さん、ごめんなさい」と言いながら 「はい!!」 爽やかな笑顔で、エレナに渡した。 「ありがとう、優しいんだね!あっ、血が…あっ、はい!!」 ポケットからハンカチを出した 「ごめんね、バンソーコエード持ってなくて」 「大丈夫だよ でもハンカチが…」 「また、会ったトキに渡してね」エレナは微笑んでその場から走り裏口へ行った 「って、おい!!!」 と呼ぶがエレナは、行ってしまった ハンカチを見るとピンクのチェック柄で右下の端に“たかだエレナ”と刺繍で書いてあった 「エレナちゃんか」男の子は、しばらく“パエリードールTAKADA”を見つめその場を去った
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!