◇小さき溝

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『いや、必死さはわかるがな……』 呆れる毛利に、亮は今回の重大案件『恋と愛の違い』について尋ねた。 『すまん、流石の俺でもこの状況でそれを聞かれる流れは読めないぞ』 「桶狭間の戦いに比べればなんてことはない」 『いや、ハンニバルのアルプス越え並に意味わからん』 「は?アルプス越えたんだぞ!歴史的な戦略だぜ?ローマ倒すために、象連れてアルプス越えたんだよ!けどなぁ、本国がなぁ……」 しまった、と毛利輝夜が思ったのも手遅れで、亮はカルタゴとローマ、果てはアルプス越えの歴史について語り始める始末。 この歴史馬鹿が、と輝夜が内心舌打ちして付き合うこと三十分後、 「というわけで、ナポレオンはジョゼフィーヌを諦めてマリ=ルイーズを選んだわけだけど、それは子供ができなかったからだろ?なんでジョゼフィーヌに関心がなくなっていったんだろう。その点について、恋と愛との違いに着目して論じてくれ」
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