3716人が本棚に入れています
本棚に追加
『――とまぁ、こういう定義だ。じゃ、"がんばれよ"』
長く続いた輝夜の講義ののち、輝夜はそう言い残し電話を切った。
がんばれよ。あいつ、全部わかってたのか。亮は一瞬照れ笑いを浮かべるが、表情を引き締めてドアを開ける。
すると、身を乗り出す佐奈と壁際まで追い込まれる星太がいた。
「……何やってんだ?」
「おおっ、亮。助かった――じゃなくて、お、俺、一旦家帰るわッ!帰って……ええっと……物理と英語……あ、保健体育の宿題持ってくるわ!んじゃ、またっ!」
ドアの前に立つ亮をどかし、慌てて部屋を出ていく星太。
些か計画より早いのでは?と思いつつも、亮は座布団に座った。そして気がつく。佐奈と二人っきりということを。
「ねぇ……」
「お、おう……」
恥ずかしさから、佐奈を見れず床を見ながら答える亮。その頬は昼時なのに、やや茜色に染まっている。
そして、佐奈の唇が動き、言葉を紡ぐ――
「その、どんな恋愛小説を読んでるの?」
最初のコメントを投稿しよう!