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「え?」
思わず佐奈の顔を見る亮。恥ずかしさも糞もない、理解不能だ。
「星太から聞いたよ。恋空とか赤い糸とか……」
「な、何の話?」
「へ?最近、恋愛小説……読んでるんじゃないの?」
「いや、夏目漱石のこころぐらいしか読んだことないけど……。あとは伊勢物語と源氏物語と――」
佐奈はいきなり立ち上がり、亮のベッドに飛び乗ると、窓を勢い良く開けて、
「結城ぃーっ!騙したな!」
「い、いや、何のことやらさっぱり……」
さっきの電話の言い訳か。星太、俺のために佐奈を騙すなんて暴挙に……。あぁ、星太。君の犠牲は忘れないよ。
などと亮が思っていたのも束の間。なんと佐奈は窓から屋根に飛び降り、挙げ句は水道管を伝って星太の元へ。
二階の窓からは、佐奈にマウントを取られて殴られる星太の姿が見えた。
取り敢えず亮は手を合わせて、星太が成仏できるように祈った。
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