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「ユリア、あんた私がここに居るって知ってて呼びまくってるんでしょ。何の嫌がらせ?」
ユリアと呼ばれた少女はフワフワと波打つ金髪を風になびかせながら可愛らしく首をかしげてみせた。
「いやがらせなんて人聞きの悪い。リナがまたそんなところに隠れてるからいけないのよ。もうすぐ皆さんお着きになるんだから。早く着替えさせないと。ってソフィアおば様が探していらしたわよ。
ほら、降りて。」
そう言って差し出された手を取ってリナはしぶしぶ塀から飛び降りた。
「は~あ」
暗い顔をして落ち込んでいるリナを見てユリアは冷たくなってしまっている手を優しくにぎり、顔を覗きこむ。
「やっぱり、ご両親のことまだ苦手?会いたくないの?」
ユリアの問いにリナは顔を横にふって否定するが、その表情は暗いままだ。
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