4人が本棚に入れています
本棚に追加
藍那『富士山の火口内って言ってもそんな暑くないのね……
今、あの中であなたは眠っている。
スペリオルは起こしてあげようかって言っていたけど……断っちゃった。』
先程とは違い、悲しい表情を向ける藍那。
藍那『今写っている私は25歳……
いつの間にか、17歳のあなたより年上になっちゃった。
あなたは気にしないと言うと思う……
でもだめなの。
私ね、今は国連の司令をしてるのよ……
だから、あなたとは会うことは出来ないの……
国連はまだスペリオルを敵だとしてる。
確かにあなたは火の七日間という大災害を引き起こした……
でも、それはあなただけの所為じゃない。国連が悪いの。
スペリオルから聞いたわ。あなたは町を守ろうとして闘った、でも国連は町ごとあなたを殲滅しようとした。
だからそれを証明するまで会えない……』
だが、藍那はそう言った後、大粒の涙を流す。
藍那『でも、会いたい……
会いたいよ………
あなたに会いたい……
……ねぇ
……覚えてる?
夏の雲とか、
時々降る冷たい雨とか……
秋の風の匂いとか……
傘に当たる雨の音とか、
春の土の柔らかさとか……
放課後のひんやりとした空気とか……
黒板消しの匂いとか……
夕立の後のアスファルトの匂いとか……
誰かが………
隣にいる、時の安心する……
感じとか……手を……つない、だ……ときの……温もりとか………』
そういって泣き崩れる藍那、勇司も知らずのうちの目から大粒の涙を流していた。
藍那『ごめ、んね……泣いちゃ、駄目だよね……
でも、これだけは言わせて……
私は正義の味方を目指すあなたが好き……
勇司、言ってたよね。大事なのはどうしたらいいかじゃない、自分が何をしたいのかだ。
って……あなたはそれを貫いて……』
勇司「藍那……」
画面の藍那に触れようと手を伸ばすが、途中でそれが意味のないことなのだと気づき、それを止める。
藍那『……メモリーの残量が無くなって来ちゃった。
だから、これが最後………
私は……天宮藍那は、
あなたのことを――――――』
最初のコメントを投稿しよう!