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窓から伺える晴れやかな太陽に照らされる景色を堪能していると、教室のドアの向こうからひょこっと小さな頭が出る。 「桃井くんいますか?」 小柄な高校二年生。 近くにいた男子が首を傾げながら窓側へ指を指す。 足を組んで景色を眺めるクラスメートがいるが、初対面に近いが為、皆去年の出会ったあらん限りの知識しかないのだ。 勿論、彼らもしかりで、互いに顔を知ってるかくらいの程度のはずなのだが。 「えっと、あいつかなぁ」 「ん?あぁ、そうそうサンキューな。おーい桃井!俺となりのB組になったぜ」 小柄で可愛い笑顔を撒き散らす男子、二年B組木下帝よりも……。 「おう」 その帝に向かって小さくほくそ笑む、無愛想な彼、桃井右京(ももいうきょう)の方が校内では有名だった。
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