見知らぬ大富豪に

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 さて、それから約四時間後。ここらを回る郵便局員が現れた。渡されたのは、昔、小学校で使っていたような筆箱サイズの箱。こんな箱が厳重に書留でくる必要があるのだろうか?  うちは受け取ってすぐ、箱の中身を確認した……中には、自分の旧姓名義の通帳が二冊に印鑑二つ、それに、手形が数枚入っている……  金額が半端じゃねーよ!  うちは添えてあった手紙を見付けて、震える手でそれを開いた。 『突然の財産分与失礼します。相続税については手形をご利用下さい。住所変更の手続きは貴方にお任せします。  この度は生前分与という形で、遺産分けしました。身内で分けると端数で揉めるかも知れないので、世界中から無作為に抽選で貴方を選ばせて頂きました。  なお、お問い合わせには応対しますが、返金は受け付けませんのでよろしくお願いします』  マジかよ!  うちはすぐさま役所に行き、住民票旧姓付きをゲットし、銀行にその遺産通帳を持って走った。  通帳を差し出すなり、別室に案内されちゃいましたよ!  ふふ、これでベネチアンビーズを買い占める! ムラーノ島がうちを呼んでいる~!  夢なら覚めないで!
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