一日だけ

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 目が覚めたら、いきなり野外だった。それも、何だか嘘臭い森の中……  何故か規格にはまったような木々が並ぶ道のど真ん中に、うちは寝転がっていた。  足元には木刀のような木の枝に、鍋蓋? 何の役に立つのか分からないけど二つとも拾って、明るく見える方(多分森の出口)に向かって歩く。  どこかで見た事があるようなないような景色の中を進んでいると……  突然、水色の大きな涙粒型でキョトンとした目玉とニンマリ赤い口を開いた生き物が薮から飛び出してきた! 「ちょっと待ったー! …………あんた、あの有名な『スライム』?」  うちは鍋蓋を盾に構え、拾った棒を振り上げて……でもその生き物に聞かずにはいられなかった。  つぶらな瞳の水色生物はコクコク頷く……つーか、プヨプヨと上下に揺れる……やアングリ口を開く。  ゲーム界においてはザコの中のザコ『スライム』。  とはいえ……戦闘経験といえば小学時代の野良犬格闘以来皆無のうちに、大型犬並の(意外と大きな)スライムが果たして倒せるのか?
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