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うちは棒を振り上げた手を力一杯そいつの脳天に打ち当てた。ヒュンと風を切り、バチャッと水を弾く音がそこらに響いてスライムは見事真っ二つ。
そいつはジュワジュワと溶けてその体液も地面に吸い込まれると、そこにコロンと二つの目玉が残った。
よく見ると、宝石っぽい。町に持って行けば換金出来そうだ。
うちは魔物を倒した喜びより、この運動による後日の筋肉痛が心配になった。何せ年が年やし。
ありえねー話だが、どうやらうちは、あの時代、最も流行った某有名ゲームの中にいる事を自覚した。
つまり、勇者。
パーッパラパッパッパッ
パッパッパッパッパッパッパッ
パッパッパッパッパッパッ
パーッパラッ
パッパッパッ
パッパッパッ
ラーーーー♪
……我ながら、様にならん……
しかし方向音痴のうちは、町に辿り着くかも分からない。
いつどこで敵に襲われるか分からない森の中で野宿は勘弁してくれ、だよ。地図も自分の居場所も把握出来ない環境に放り出されるのは、さすがに辛いなぁ……
もう一つの某有名ゲームのスタートは玉葱装備に洞窟探検からだから、まだ森の方がマシか。
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