ある日

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 気付くとうちは、物凄い姿勢で歯を食いしばっていた。  ブリッヂ。  ブリッヂの体制でぐっと口をつむり、髪を床に垂らして踏ん張っている。  しかもそこはどこかのステージの上らしい。辺りを横目で見回すと、すぐ目の前に椅子、横には沢山の座席が見えた。  何でこんな姿勢で? でも、不思議な事に全然苦しくない。ブリッヂの格好が苦しくないって、おかしくない? そうでなくても、運動不足の腰痛持ちなのに……  疑問に思う間もなく辺りはざわつき始め、ゾクゾクと人の気配が集まってきた。  さすがに、この体勢で誰かと出くわすのは恥ずかしい。うちは何とか起き上がろうと膝と腕に力を込めた……あれ?  関節が動く感覚が全くない、と言うより、体が硬化して全く動かない。  なんで?  こんな醜態を世間に晒すのは勘弁してくれー! と思う間に、スポットライトの眩しい光が……ぎょへー!  あわあわしていると、目の前に逆さのオジサン……視界が逆さなので、考えてみるとオジサンの立ち位置は正しい……が近付いてきて、うちの唇をグッと掴むや、顎ごとガバッと引き開けた。 (はがっ! あがが!)  顎が外れちゃった!
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