†…Love School…†

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      そして振り返ると、君は手を前に合わせながら、優しく目を細めて俺を見ていた。 “お別れだ”と……無言で、そう告げていた。 「…行ってらっしゃい」 「ああ……またね、  さん」 「………って、え!?  ちょっと、何で私の名前を知ってるのよ!?」 俺が君の名前を言った事にとても驚いたらしい君に、俺は小さく笑いながら近寄り、耳元で囁き落とした。 「俺が死ぬまで、“そっち”で…待ってて」 そうして固まっている君を残して、俺は重い鉄の扉を開けて明るい日差しに照らされた屋上から暗い踊り場へと足を踏み入れた。 途中、何度も後ろを振り返りそうになるのを堪えながら…重い音を立てて閉まった扉を背に、屋上を後にした。 「………どうして、私の名前…知ってたのかな…」 彼が去った重い音がして暫く経った後、囁かれた耳元を掌で押えながら眉を寄せつつ首を傾げた。 けれどすぐにそれは小さな笑みへと摩り替わる。 「にしても、『待ってて』…か。  ははっ……そんなの…待って、いられる訳…ないじゃない。  キミが死ぬまで…なんて、さ…」 思わず肩を竦めながらそう呟いた。 これから長い間に彼は沢山の人と出逢って、沢山の感情を抱いて……沢山色んな思いをする。 きっと彼は、死に際に沢山の想い出に微笑みながら、沢山の人に涙を流してもらいながら看取ってもらえるんだろう。 …………私と、違って…。 けど、その事を妬ましいとは思わなかった。 寧ろそうであって欲しいと、心の底から切に願う。 それにしても、そんな長い時間を待ち続けろなんて…彼も最後に、随分と酷な事を言ってくれたものだ。 待ち続ける事は無理だろうけれど…もし、またこの世に生まれる事が出来るのならば、彼と、また逢いたい。 長い長い時の中での、ほんの刹那の間だけでもいい。 また彼と関わり合える様になりたい、彼と同じ時を感じたい、と。 ……そう願えるようになった事が、とても…とても嬉しかった。 「………」 空を見上げれば、澄み渡る空。 それは何時かの時よりも、高く、高く…。 嗚呼、 それはとてもとても 涙が出てしまう位に     綺 麗 、 な    “  青 空  ”     で し た … 。      
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