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闇の帳が降りた部屋のベッドの上で、映理は眠りに落ちない意識を天井へと向けていた。
すぐ側で疲れ切った体を横たえている義弟・多聞の寝息と体温を心地よく感じながら――。
左手を伸ばして映理は軽い寝息をたてている多聞の頬にそっと触れた。
躰がまだ抱かれた余韻でうずいている。
…いや、まだ足りない!
「愛している…」
静かな声で囁く。
「お前は俺の大切な弟…違う!恋人だ」
映理は多聞が勉学やセックスのみならず、人間としても自分より劣っているのではないかと引け目を感じている胸中を察していた。
(だけどそれは違うよ…)
と映理は深い夢の中にいる多聞の心に応える。
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