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『俺が今どれだけ幸福かお前に示してやれない自分がはがゆい』
『お前は俺の希望であり、暗闇で道に迷った旅人を確実に出口へと導く不動の星だ』
映理が己の同性愛嗜好を自覚したのは、思春期を迎えた中学の頃だった。
異性に興味がないわけではない。
むしろ柔らかな曲線を描く女性の身体を美しいと思うーー。
だが抱き締めるより抱いて欲しかった。
力強い腕に組み敷かれて、常に付き纏う消えない孤独と飢餓を払拭して欲しかった…。
その果てしない欲望が義弟に向けられていると気づいた時、映理は多聞から逃げるしかなかったのだ。
そうしてお互いを大切に感じながらも、微妙にすれ違って行く想い――。
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