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映理は左手を伸ばして、ふわりと多聞の額に触れた。
多聞は少し驚いて映理をみる。
やわらいだ表情…
癒しを与えるかのように見つめる眼差しは、まるで菩薩様だ。
「疲れが出たんだよ。ちょうど大学にも慣れて…。ずっと無理してただろう」
確かに分不相応な大学に、まぐれ入学できてしまった…
までは良かっのだが…。
映理に少しでも近づきたい。
余裕のキャンパスライフを送りたい。
そんな焦りがなかったとは言えない。
何より、学部もキャンパスも違うが、胸をはって映理と肩を並べられられる存分になりたかった。
自分の腕の中で、深い充足を味わいながら安心という揺り篭で眠ってもらえる強さが欲しかった。
映理はオレが守る。
強く逞しく(エッチももっと上手くなって)…。
真面目に真剣にそう考えていた。
今だって考えている。
「だからって…なっさけねーの…オレ」
「おまえだけのせいじゃない…」
「えっ?」
映理は少しはにかんだように
「ほとんど毎晩だったろ…俺が、求めすぎるから…」
聞いて別のところから熱が上がる。
「…んなことねーよ」
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