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毛布が波打つたびに、快感が背中を登ってきて、息があがる。
(やっぱスゲー上手い…)
他に経験したどんな相手よりも…
(敵わない…全然まだ)
腰の辺りに強い感覚が拡がって、たまらず声が漏れる。
「い……く」
目蓋の端から、涙がにじむ。
体がどうしようもなく熱い。
それがウィルスのせいなのか、映理が与える愛撫だからなのかもう解らなかった。
多聞が放出した体液を一滴残らず飲み干して、映理はベッドを降りた。
多聞は濡れた口元を手の甲で拭う映理を朦朧とみている。
「ずるい…またオレだけ…」
「これでぐっすり眠れるだろう?」
「何だよ…いつだってオレばっかイカされ…これじゃオレが抱かれてるみてー…」
多聞はまたぶつぶつとうわ言を呟き始めたが、
やがてそれも軽い寝息に変わってしまった。
少し前に飲んだ抗生剤が効いてきたのだろう…。
乱れた毛布を掛け直してやり、映理は多聞の寝顔をじっと眺めた。
幸せなんだ…と思う。
日常の些細な出来事や、こうして二人でいられることが…。
「お休み多聞…朝には元気になってるよ」
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