◇不可侵領域◆

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毛布が波打つたびに、快感が背中を登ってきて、息があがる。 (やっぱスゲー上手い…) 他に経験したどんな相手よりも… (敵わない…全然まだ) 腰の辺りに強い感覚が拡がって、たまらず声が漏れる。 「い……く」 目蓋の端から、涙がにじむ。 体がどうしようもなく熱い。 それがウィルスのせいなのか、映理が与える愛撫だからなのかもう解らなかった。 多聞が放出した体液を一滴残らず飲み干して、映理はベッドを降りた。 多聞は濡れた口元を手の甲で拭う映理を朦朧とみている。 「ずるい…またオレだけ…」 「これでぐっすり眠れるだろう?」 「何だよ…いつだってオレばっかイカされ…これじゃオレが抱かれてるみてー…」 多聞はまたぶつぶつとうわ言を呟き始めたが、 やがてそれも軽い寝息に変わってしまった。 少し前に飲んだ抗生剤が効いてきたのだろう…。 乱れた毛布を掛け直してやり、映理は多聞の寝顔をじっと眺めた。 幸せなんだ…と思う。 日常の些細な出来事や、こうして二人でいられることが…。 「お休み多聞…朝には元気になってるよ」
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