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頭上で鳴り始めたけたたましい目覚まし音を腕だけ伸ばしてかき消すと、多聞はのっそりベッドから身を起こす。
意識は半分まだ夢の中である。
覚醒を促すように乱れた短い黒髪を右手でガシガシと掻く。
傍らに視線を移しポツリと呟いた。
「えーと…?」
横に眠っていたはずの映理の姿が無い。
温もりも消えていた。
改めて時間を確認すると、すでに8時を回っている。ぐずぐずしていては午前の講義に間に合わない。
多聞は慌ててベッドから降り、昨日と同じジーンズとシャツを素っ裸の身にまとった。
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