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◆深夜の鳥籠
今夜も貴方は 綺麗だわ
あたしはどうかしら
ねぇ お月様
またあたしのお散歩に
付き合ってちょうだいね
木の葉さえも寝静まった
静かな静かな夜
一羽の小鳥が
鳥籠から飛び立ちました
毎晩のように繰り返される
その様子
星たちはもう
見慣れてしまったようです
そして───……
お月様がほんの少しだけ
首を傾げた頃には
小鳥のお散歩は終わるのです
星たちは煌めきあいながら
その様子を見つめます
外の世界が羨ましいのなら
いっそ帰らなければいいのにね
と、囁きあいながら
それを知ってか知らずか
小鳥は鳥籠の戸を閉めながら
そっぽを向いて
ぽつりと一言
だってあたし
野性では生きられないんだもの
それは
囁きあう星たちに言ったのか
籠の中の自分に言いきかせたのか
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