心影

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いつもと変わらぬ通学路は、同じ高校の生徒が歩いている。しかし、人通りの少なさは類を見ないほどだ。 それでも一般高校生は順応して友達を作るもので、誰一人行き来を共にする人も居ないオレは、どうやらはみ出し者らしい。 学校に着いても話す相手が居るはずもなく、アホ面を満開にして笑い合う奴らに蔑むような目線を送る。 「ハセガワーッ!見てんじゃねーよ!」 怒鳴られた。しかし、名前も覚えてない奴に言い返すのも、なんだかバカげてる。オレは目線を反らし、睨むように時計を見た。 ぐるぐるぐるぐると時計は回り、バカ共が異常なテンションになる放課後になった。別にする事があるわけでも無いのに屋上に上がり、部活に励む熱心な生徒たちを見下ろした。 高い場所から人を見下ろすのは好きだ。特に屋上なら尚更の事。人が足下であがいているようで、この上なく爽快だ。
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