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市道は腕組みをし、大袈裟に頷きながら言った。
「うむ、いい質問だ。我等が漫才部は残念ながら部員数が少なく、まだ始動していない。俺がまだ柔道部に甘んじているのもそういう訳だ。」
だが、と市道は続ける。
「君が入ってくれたら正式に部活として認められるのだよ!どうだ?その気はないか?転校生!今ならもれなく、さっき拾った何かの解毒剤あげるぞ!」
「いや、何ですか、そのあからさまな伏線は?」
口を尖らせる中井をよそに、市道は言うだけ言うと教室を出ていってしまった。
「ごめんよ、ああいう奴だからさー。あ、それと君、ツッコミ下手じゃね?」
黒羽もそう言い残し、市道の後を着いていく。
残された中井は、ため息をつきながら、いましがた押し付けられた薬品の入った注射器を眺めるのだった。
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