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平安、京の近くに位置する貴船神社。
そこに仕える巫女、梢(コズエ)。
「梢はまた夢を見ました。
梢の夢は正夢になると知っています。
時代を超える夢を見たのです。
時代を本当に超えてしまうのでしょうか?」
神社の前で1人で話す。
するとぼやぁと人が見えるようになった。
梢にしか見えてはいないが。
「ふむ…
梢、我が巫女よ。
先見の巫女よ、そなたがその夢を見たと言うならば本当になるだろうよ。
・・・
そちらへ行っても我を頼むぞ?巫女は梢だけだ。
我の加護はいつになろうとも消えぬ。」
巫女装束でなく、普通の十二単を着た梢は
頭を下げ、
「ありがとうございます。
向こうに行ったら貴船を尋ねます!できたら舞を奉納しますので。」
まだ話そうとする梢を目で制する龍神
「時が来たようだ。
無事でな。」
そう言った時、梢の姿は
貴船からかき消えるようにして消えた。
「お前の行く先は争いのあふれる時代だ。
お前がどちらへ行くのかは私にもわからぬが、
龍神の、神々の加護が梢にあらんことを…」
貴船に静寂が戻った。
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