最愛が奏でる泡沫の音色

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「鈴さん!」 「先ほど亡くなられたんです! どこで手に入れたのか 毒性の強い薬を飲んで。」 …………………ウソでしょ。 だってこんなに幸せそうなのに? 「彼の生命維持装置も外されていました。」 顔を上げると あんなに繋がっていた沢山の管が 一本も繋がっていなかった。 どうして そんなにほっとした顔してるの? 潤のそんな顔 初めて見たよ………………。 「彼のベッドの上にこれが。」 医者が差し出したのは封筒だった。 黙って渡されるままに受け取る。 どうしよう。涙も出ない。 「お悔やみ申し上げます。」 全員がアタシに頭を下げる。 どうしよう。 何が起こったのか全然判らない。 立ち尽くすアタシを残して 医者たちは病室から出て行った。
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