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急に背後から聞こえた声に俺はきゅっと身体を縮めた。
「だ、誰だ?」
「あ、突然ごめんなさい。あれ以来初めて男の人を見かけたから」
俺に声をかけたのは、ボーイッシュな格好をした金髪の若い女性だった。
「あ…いや、構わない」
「本当?ありがとう」
「いやいや…しかしあれ以来って…、
あの気味の悪い事件が起きたのは昨日だろ?」
俺の言葉に彼女は驚きと可笑しさを混ぜたような顔をした。
「なにいってるの?あれが起きたのは一ヶ月も前の話よ?」
…は?
「いやいや…俺はあの時…仲間がみんな消えて…、
俺も死のうって…せめてベッドで死にたいと思って…、
家に帰って寝て…起きたら今だったんだぞ?」
俺は焦っていた。
接続詞がおかしいことばになっているのは分かっている。
「え…?じゃああなた、一ヶ月も自室で寝てたってこと?」
「…信じられないけど、そうらしいな」
…信じられないけど…な。
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