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「はぁ…はぁ…はぁ……!」
荒い呼吸音と共に、白い吐息が口から漏れる。
まだ太陽が一日の仕事を始めたばかりの時間。
俺は上り坂を走っていた。
俺は神木 悠樹(かみき ゆうき)。
多分、何処にでもいるような平凡な高校1年生だ。
家から歩いて行ける距離にある、私立桜坂学園高等部に通っている。
毎朝、自己研磨の一環として、こうして登校前にジョギングをしているんだ。
――というのは建前かもしれない、本当の目的は……
「あ、おはよう悠樹~!」
「おはよう桜花!毎朝早いな~」
シェットランドシープドックのリード片手に、俺の目の前に現われたこの子は天織 桜花(あまおり おうか)。
同じく桜坂学園高等部1年生。
淡い桃色の髪は長くストレート、瞳は大きくてキレイなスカイブルー。
どれをとっても一流モデルに引けを取らない。
……俺の、好きな人だ。
◇天織 桜花
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