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「何?今の音は?お父さんの
部屋の方から…?」
エリカは夜食作りの手を止めて音のした方向へ駆け出した。
″ガチャッ″
ドアを開け
エリカは父の部屋へ入った。
「どうかしたのお父さん?
今、何か大きな音が…お父さん…?…何?どうしたの
お父さん!」
エリカは父に駆け寄りうつ伏せに倒れ胸から血を流している体を抱き起こした。
「しっかりしてお父さん!」
「ゴホッ、ゴホッ…エリカ…?お、お前、
連れ…去られたんじゃ…?」
「ううん…私はずっと
この研究所にいたわよ。もう、喋らないで今、救急車を呼ぶから。」
「い、いや…もうイイ、
エリカ…。ゴホッ、ワシは
もう助からん。ゴホッ、何者かに騙されナノを奪われた…
悪用されたら大変な事になる…エリカ…すまない…
ゴホッ、ゴホッ…ううっ…」
「お父さん!」
博士は最後に何か呟きながら
力尽きた様に動かなくなった。
「お父さん…何故こんな事に…いったい誰が…」
エリカは冷たくなった父の体を抱きしめながら悲しみの涙を流し続けた。
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