91人が本棚に入れています
本棚に追加
それはあれだな。さっきの幸栄を見ちまったせいだな。
「待ち合わせは9時だよねー。30分も経過しちゃってるよねー。罰として嬉し恥ずかし撮影会しよっか。女装とかネコミミとか女装とか……。はふん」
なんで幸悦な顔浮かべてんの。つか女装2回言ったよな。断固として断らせて頂く。
「幸栄は何時に来たんだ?」
「えっ? ふ、ふふふ。私は5分前に着いていたさ。大人なレディとしては当たり前よん」
ほう。お前がいつそんな“出来た人間”になったんだ。
ていうか。
「幸栄、嘘はよくないぞ?」
「嘘? ライ? ナンノコトダカサッパリー。幸栄ちゃんには分かりませんよぉ」
「お前ほど嘘がつけない人間も珍しいよな。見てて清々しい」
明らかに挙動不振。
唇を震わすとかそんな次元じゃないぞ。身体全体がブルブル震えてんじゃねえか。
「う、嘘だって証拠はあるのかな? 証拠がなければ有罪も無罪に変身。あらやだ素敵」
「ここに来る前にさ、明らかにスピード違反してるお前のミラ見掛けたんだけど。つい5分ほど前に」
「さあさあさあ。今日はデートじゃなーい。遅刻なんて私気にしないよー。さあさあ行きましょ行きましょ!」
最初のコメントを投稿しよう!