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「たっいちくーん!」
幸栄の声が聞こえると、予想通り視界に変化が起きる。
現れた光景は先ほども見たアパートの一室。つまり俺の部屋。
「大ニュース大ニュース! 幸栄ちゃんに問題はっせーい」
「万年脳内不備に気付いたのか? おめでとう。心の底からおめでとう」
「どうゆー意味さ」
あ、やべ。目がマジだ。
こいつたまに冗談が通じないよな。自分は冗談の塊のくせに。ていうか今、新作のコーヒーの評価してるから黙ってくれ。気が散るから。
「ふふふ。呑気にコーヒー飲んでる暇があるのかなぁ? 太一君も関わる大事件なのに」
ああそう。
ふぅん。苦味はほどよいけど、後味がちょっとしつこいな。こりゃBランク辺りが妥当だ。
「話を聞けーっ!」
「うるさい。ちゃんと聞いてるっての」
どうせ大した事じゃないんだろ。いちいち大袈裟に言うな。
さて、次はカフェオレか。あんまり好きじゃねえんだけど、まあ仕事だしな。
「幸栄ちゃん御懐妊でーす」
――ぶっ!
「うわっ! 漫画並に吹き出したよこの子!」
ご、ごゴごごゴ御懐妊?
まあやる事はやったよ。恋人のたしなみみたいなもんだし。
ん。でも待て。1回しかやった事ねえぞ? そんな簡単に出来るものなのか!?
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