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「幸栄。子供ってそんな簡単に出来るの? 日本が少子化に悩まされてる理由が分からんぞ」
「んっとねえ。相性もバッチリだったんだと思うよ」
「それに」と幸栄は続けて。
「私あの日危険日だったしさー。あはは。後々考えて、あ、やべ。とか思ったけど手遅れだったみたいだねー」
いや、なぜにそんな他人事っぽく言うんだ? 今からお前は腹痛めてまで俺との子供を生まなきゃならないんだぜ。自覚あんのか自覚。
「今何ヶ月?」
「3ヶ月に入ったとこだよ。いやー。最近あの日がめっきりさっぱりなくなったからおかしいと思ったんだよね。まさか出来ちゃってたとわ。ワンダフル」
――ガシッ。と握手。
そっか。3ヶ月か。
産まれるのは4月くらいだな。名前も春が連想される様なのにしようかな。桜とか、そのまま春でもいい。
まあそれより先にしなきゃならない事があるな。順番逆になったけど、いいだろ?
「結婚しよう」
ワンフレーズ。
他にも言いたい事があったけど、今はこれだけでいい。
だってさ、その簡単なワンフレーズだけで嬉しそうに涙流してくれてる奴がいるんだ。
それだけで、充分だろ。
「よろしく。パパさん」
ほら、充分じゃねえか。
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