小さな喫茶店

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   ……商売柄、多種多様な方々を見てきましたが、こんなに年齢と見た目にギャップがある人は初めてです。  だって制服着たら中学生って言われても納得出来るくらい若々しい顔付きなんですよ?  しかも黒い髪はスポーツ刈りにされてて、いかにも部活頑張ってます! 的な感じですし。  あと身長。身長! さっき見ましたが、150そこそこじゃありませんか?  詐欺ですよ。詐欺。   「……なに? まだ俺の外見にケチつける気?」   「いいええ。滅相もない」    おおっと、怪訝な顔になってましたかね。私。  まあこの方が若いと思うのは私だけじゃないと切に願うだけにしましょう。   「お待たせ致しました」    スティックシュガーを添え、オリジナルブレンドのブラックコーヒーを青年? の前に置く。……もしこの方の味覚も若々しいなら苦いのは無理かも知れませんね。ミルクも準備しましょうか。    そう心配する私をよそに、青年はカップを手に取り口へと近付ける。が、すぐに飲もうとはせずに匂いを嗅ぐ。   「腕はいいみたいだな」    この口調。コーヒーにはうるさい方の様ですね。  あながち成人なのは嘘じゃないかもしれませんね。  人心深いんです。私。   「お気に召されたならなによりで」  
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