小さな喫茶店

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  「それは喫茶店のマスターの仕事と関係があるのか?」   「いえいえ。これはあくまで私の善意。偽善と受け取って頂いても結構ですよ」    私なりのベストスマイルと共にそう言えば、青年は口許に手を当てて「ふぅん」と何かを考え始めた。  まだカップに残ったコーヒーは飲まないんでしょうか。  冷めたら味も落ちるというのに。   「なら」と、ようやく答えを導き出した青年は、心の底から悪意を引っ張ってきたかの様な笑みを顔に出し、ギシッと音立てながらイスに持たれかかる。   「会いたい人がいる。その人に会わせてくれ。出来るものならな」    ……私はこの方に嫌われる様な事をしたんでしょうか。  それともこうゆー性格の人? 友達に出来ないタイプです。    だがしかーしっ。ようやくこの方の願いが分かりました。  それだけで充分収穫があったというもの。この高飛車な方にめげずに頑張った甲斐がありました。グッジョブ、私。   「かしこまりました」    私の返答が予想外だった様で、青年は素直に驚いてる。  ふ、ふふふ。毎回お客様の驚く顔だけは痛快なものですね。なんだかこっちまでドキドキしちゃいます。
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