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「データ全部削除しろ。いますぐ。ほら早く」
「いやんっ。これは永久保存に決まってるじゃないの。それより私と喋ってる暇あるの?」
ねえよ。
現実逃避したいくらい焦ってるよコノヤロー。
「時間はないけど! 人としての尊厳を守る方が大事なんだよ!」
「大丈夫だいじょーぶ。悪用はしないよ。ただ人肌恋しい夜に利用させてもらうだけだから。うへっ。うへへへ」
なにこの娘。涎垂らしながら携帯見つめてんじゃねえよ。
つかそんな不純な行為に人の寝顔を使うんじゃねえ!
「早く消せ。じゃねえとお前の父ちゃんに」
「あっれー! 手が勝手に削除ボタンを押してるよー。やめろ。止まるんだ私の右手!」
相変わらず父親が苦手か。
まあ怖いもんな、お前の父ちゃん。初めて見た時はカタギじゃねえって思ったもん。
「あーあ。もったいなかったなあ……。ちなみにエーエム8時ジャストね。全員集合!」
「お前今日車で来たのか?」
「イエース! 私の恋人ミイちゃんと一緒に来ましたー」
時間ないし、ボケはスルーさせてもらいます。
てかミイちゃんて誰だよ。
お前の愛車はミラだろが。
「会社まで送ってくれ。交通法シカトしていい。捕まったらお前置いて走っていくからよ」
「あはは。やーだ」とか言いつつも、先に部屋を出ていく。
たぶん車の準備をしにいくんだろう。迷惑かけます。
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