第四章 大人気!医務室

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撫子は原田に腕を引っ張られ、前のめりになるが、次いで頭をわしゃわしゃと撫でられた。 「ちょ、やめ…」 それはまるで猫を撫でるような手つきで。 何とも優しくて。 最初は嫌がっていた撫子も、次第にその気持ち良さに目を細めていた。 「おやおや、本当に猫みたいだねぇ」 「………」 原田が何かを言った気がするが、撫子は気にする事を止めた。 ずっと張っていた気が、緩み始めたその時。 ースッ 「…自分ら何してるん?」  山崎が帰って来た。 何だかその声に怒りが含まれているのは気のせいでは無さそうだ。 「やぁ、おかえりススム。ちょいとお嬢ちゃんを借りてるよ」 「…許可は出してへんよ」 「固い事を言わないでおくれよ。お嬢ちゃんのお陰で調子が良くなったんだ」 「…さよか。なら、もういいやんな?平助たちが探してたで」 山崎は原田を睨む。 獣が威嚇するように。 「平助たちが?-それじゃあ俺は行くとしようかな。お嬢ちゃん、どうもありがとうね。またよろしく」 「えっ、あ、はい」 咄嗟に声を掛けられ、撫子は大した意味も無く返事をする。 「じゃあね」 原田が出て行き、部屋は沈黙に支配される。    
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