悪夢

2/6
前へ
/108ページ
次へ
青年は夢を見た 青年は道路に立っていた… 別に知らない道路じゃない自分の寮の近所にあり、たくさんの家や店がたちならんでいる道路だ… いつも学校に行くのに使う見慣れた道路 でもそこに広がる風景はいつもの風景でなかった… 立ち並んでいた家や店は跡形も無く吹き飛ばされ、道路は所々深く陥没していた… 面影なんてどこにも無かった… それでも青年がここを寮の近くと分かったのは、 〈常磐区352-12〉 とかかれた黒くくすんだ金属プレートが足元に落ちていたからだ このプレートは青年の寮の前の電信柱にかかっていたものだ 「なっ、何が…おこったんだ…」 青年は状況を把握するためにすこし歩くことにした しかし、どこまで行っても破壊された町が続いているだけだった… 「地震でも、あった…のか?」 大きな地震がおきたならならこの状況も説明できる だが、しかしだ 「静かすぎ…、ないか…」 この状況で緊急車両のサイレンはおろか、人の声さえも聞こえない。完全に静寂につつまれていた そんな中青年の足音だけが響いていた 青年はしばらく静寂の中を歩いた 歩いて歩いて歩き続けた… そして青年は人の声を初めて聞いた しかしその声は青年の不安を取り除くことは無かった その声が人の悲鳴だったから 「!?」 青年は一度足を止めて立ち止まった だがすぐに何かにひっぱられるように声のした方に走りだした。
/108ページ

最初のコメントを投稿しよう!

41人が本棚に入れています
本棚に追加