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青年は夢を見た
青年は道路に立っていた…
別に知らない道路じゃない自分の寮の近所にあり、たくさんの家や店がたちならんでいる道路だ…
いつも学校に行くのに使う見慣れた道路
でもそこに広がる風景はいつもの風景でなかった…
立ち並んでいた家や店は跡形も無く吹き飛ばされ、道路は所々深く陥没していた…
面影なんてどこにも無かった…
それでも青年がここを寮の近くと分かったのは、
〈常磐区352-12〉
とかかれた黒くくすんだ金属プレートが足元に落ちていたからだ
このプレートは青年の寮の前の電信柱にかかっていたものだ
「なっ、何が…おこったんだ…」
青年は状況を把握するためにすこし歩くことにした
しかし、どこまで行っても破壊された町が続いているだけだった…
「地震でも、あった…のか?」
大きな地震がおきたならならこの状況も説明できる
だが、しかしだ
「静かすぎ…、ないか…」
この状況で緊急車両のサイレンはおろか、人の声さえも聞こえない。完全に静寂につつまれていた
そんな中青年の足音だけが響いていた
青年はしばらく静寂の中を歩いた
歩いて歩いて歩き続けた…
そして青年は人の声を初めて聞いた
しかしその声は青年の不安を取り除くことは無かった
その声が人の悲鳴だったから
「!?」
青年は一度足を止めて立ち止まった
だがすぐに何かにひっぱられるように声のした方に走りだした。
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